I’m in Mzuzu, Malawi.
お久しぶりです。
西アフリカの旅を終え、トーゴから南アフリカのケープタウンへ移動し、そこからバス移動を繰り返し現在はマラウィのムズズという町まで来ました。明日は朝5時からバスと乗り合いタクシーを乗り継ぎ、タンザニアに入国する予定です。
今回は、先日滞在した西アフリカのトーゴでの思い出について。
イギリスで7年前にネパールをともに旅した旧友との再会を楽しんだ後、格安LCC航空ライアン・エアでモロッコへ。自身初のアフリカ上陸。
モロッコ各地を旅し、バスで西サハラを抜けてモーリタニア、セネガルに滞在。その後は、コートジボワール、ブルキナファソ、ベナン、トーゴと駆け足となったが西アフリカ各地を回った。
言語はフランス語となり、コミュニケーションの面では少し大変だったが、どこでも明るくて親切な人が助けてくれ、問題なく旅をすることができる。
乗りたいバスが分からなくても、人々に聞けば一緒に切符売り場まで連れて行ってくれ、小額紙幣が無いと何と奢ってくれる。バスに乗るところまで心配そうに見守ってくれ、市場に行けば身振り手振りで食材と金額を教えてくれる。
西アフリカは確かに旅人が少ないエリア。情報も勿論ヨーロッパや南米に比べて少ない。同じようなバックパッカーに出会うことは殆ど無かった。ただ、どこでもこういった人々に助けられ、旅を続けられた。
大切なのは、こちら側の姿勢だと思う。コミュニケーションを取りたいという気持ちとその姿勢があれば、問題はない。
屋台で食事を取れば、1食あたり50円〜100円で済む。魚から肉まであり、その味付けも中々美味しい。最初は見た目に少し驚くが、一口食べてみるとその美味しさに病みつきになる。
椰子の木と砂浜が続く、トーゴの首都ロメ。大好きな国の1つになりました。
こうして西アフリカの旅の最後の国となったトーゴ。ずっとこの国で楽しみにしていたのはブードゥー教のマーケットへ行くこと。
※ブードゥー教についてまずはwikipediaを引用し簡単に説明を。
ブードゥー教は、西アフリカのベナンやカリブ海の島国ハイチやアメリカ南部のニューオーリンズなどで信仰されている民間信仰。アフリカの民間信仰なども含めたブードゥーならびに類似信仰の信者は、全世界で五千万人にも上るという。
出典:https://bit.ly/1Kdv9UI
ブードゥー教の発祥地は西アフリカのベナンとされる。カリブ海のハイチで広がっているのは、奴隷貿易でベナンからカリブ海へ強制連行された人々がハイチのキリスト教と習合してこのブードゥー教が黒人奴隷の間で広がり、発展したため。アフリカの暗い過去である奴隷貿易と密接な背景がある。
何といってもブードゥー教(ヴードゥー教)と聞いてまず有名なのは呪術や生け贄、あるいはゾンビといったイメージ。自分も以前ネットで見た画像や情報からとても興味を持っていた。
隣国ベナンでこのブードゥー教は盛んだが、トーゴでも同様。そして、このトーゴにはその呪術のための材料を売る世界最大規模のマーケットがある。そのマーケットには、呪術や儀式などに用いる動物の骨や角などが売っているという。
ブードゥーマーケットへ
ベナンと同じくトーゴでも移動手段はバイクタクシーとなる。ベナンではドライバー達が黄色い服を着ていたのでとても分かりやすいが、トーゴではそういった”ユニフォーム”は無い。
歩いていると、乗客を探しているバイクがクラクションを鳴らしてくる。それが一般のバイクとバイタクの違いだ。手を上げて彼らを止めて行き先を告げる。カウチサーフィンで滞在しているエリアからは8kmほど。かなり遠い。
それでもこのバイタクであれば600CEF(約120円)で行くことができる。かなり安い。
行き先であるマーケット、Fetish Market(フェティッシュ・マーケット)をドライバーに告げる。
「Fetish Marketか…700CEFだな。」
「いや、600で十分でしょ。」
「いや、それじゃ無理だ。よし、650!ほら、乗りな!」
「いや600だって。暑いから早く出発しよう。600だ。」
苦笑いしながら、おじさんは「わかったよ」と言う。
交渉も難しくなく、笑いながらできる雰囲気が良い。雨が振り出しそうになったり、猛暑で歩くのが辛い時はサクッとこのバイタクに乗る。3kmほど乗っても約40円だ。滞在中はかなりお世話になった。
ドライバーはヘルメットを被っているが、後部座席にまたがる自分にはヘルメットは無い。速度を上げる車体から落ちぬようにバイクにしがみつく。特に20kgあるバックパックを背負っている時は急発進の際に落ちそうになり、かなり大変だった。
15分ほど掛かり、マーケットに到着。世界最大規模と聞いていたが、こじんまりとした大きさ。そしてここが、かの有名なブードゥー教のマーケットとは思えない雰囲気。単なる閑散とした市場に思える。
入口で入場料と撮影料の5,000CEF(約1,000円)を支払う。現地の物価からするとかなり高額だが、貴重な体験だ。英語が話せるガイドが付き、説明をしてくれる。
★ここからは動物の骨や干した頭蓋骨の画像が続きます。閲覧注意でお願いします。
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マーケット内に並ぶ多くの屋台。各商店が並ぶ。近づくと動物を干しているため、獣臭に似た特殊な臭いがする。
まずは、ガイドが丸っこい石を見せてくれる。この石にはパワーがあるとされ、水に入れその水を飲めば身体に良く、お守りにもなると言う。パワーストーンのような感じだろうか。
そして目についたのは箒のようなもの。聞けば、牛や馬の尻尾の毛できたもの。ダンスで使うものだそうだ。
このように気になったものをその効用や使い方、背景や歴史をガイドに尋ねながら、広くない市場内を歩き進む。
可愛らしい人形があったが、こちらは呪術や儀式用というよりは、単なるお土産だそう。釘だらけの人形があったので、『呪いの人形か!?』と思ったが、聞くと『これは単なるデコレーションだよ!』と笑う。
猿や猫、犬といった小動物の干した頭部が並ぶ。ガイドによると、これらの動物たちは狩りによって捕獲されたものではなく、自然に死んだものを利用している。その死体を市場に売りに来た人々から買い、それを干して商品にしているのだそうだ。
基本的にはこれらの頭部や骨を粉末にして飲む。処方を行う”診療所”のような場所があり、その処方箋を持ってこの市場に人々はやってくる。その処方箋に沿って、各自必要な物資を購入するのだそうだ。
実際に滞在している時にも、一般の人々が何人もこの市場に足を運んでいた。その度に、商店の人々は客引きのために声を張り上げる。人々が実際に日常的に購入している姿を見て、この場所は確かに有名となり観光地となっているが今でも強く残る民間信仰の場の1つであると感じさせられる。
例えば猿の頭部の粉末は興奮作用、カメレオンの粉末は精力剤になるという。バッファローやクロコダイルといった大型動物から鳥やコウモリ、ハリネズミなど多種多様な動物が並んでいる。
「この粉末とこの粉末を混ぜて飲めば、記憶力が良くなるんだよ。」
そう説明してくれるガイドの話と実際にマーケットに訪れている人々の姿を見ていると、この場所が「黒魔術」や「呪術」といった面白おかしく伝えられている場所でなく、ガイドが言うように伝統ある「アフリカ最古の薬局」の雰囲気があった。流れている雰囲気は、長閑で平和だ。
掛かっているネックレスは蛇の骨でできたもの
ガイドは小屋の中へ連れていってくれる。この小屋の中には祈祷師(シャーマンのような)がおり、彼らに人形などを祈祷してもらい、その効果がやって生まれるのだそうだ。名前を聞かれ教えてるとまずはお祈りをしてくれる。
この小さな人形は家に置いておくと泥棒が入らなくなるのだそう。可愛らしい見た目だ。
この小さな穴に向かって願いごとを吹き込み、そして本体にくっついている角のような部品で穴を閉じる。これがお守りとなる。ガイドは例として「safe travel, safe travel…」と息を吹き込むように願いを込め、やり方を見せてくれる。
様々なものを見せてくれるが、客引きはあまりしつこくない。購入する意志がないことを伝えると、あっさりと「OK」と言ってくれる。
このマーケットの中央にある場所では、毎年12月に儀式が行われるのだそうだ。牛が生贄となりその血を納め、ダンスも行われるのだそうだ。どんな様子なのだろうか、とても気になる。
確かに、見慣れない動物の頭部が並び、異臭が漂うこのマーケットを歩くと最初は戸惑う。自分の知っている文化とはかけ離れている光景だ。だが、実は平和的で今もなお彼らの文化に根強く残るブードゥー教の様子を垣間見ることができる。
市場は小さいので、1時間もせずに滞在は終わる。ガイドにお礼を言い、ちょうどやってきたバイタクに乗ってその場所を去った。
そんな西アフリカ・トーゴでの思い出。
世界には興味深い知らない文化があるものです。そして、その文化は勿論、雰囲気・様子といったものは、やはり実際に訪れ、目で見て匂いをかぎ自分の中で消化することで感じる事ができる。
この滞在を終え、トーゴやベナンのカルチャー、ブードゥー教について更に深く知りたくなった。その信仰人数に関わらず、世界でも珍しいブードゥー教のマーケット。このエリアを訪れた際は立ち寄ってみるのもいいかと。
楽しんだ西アフリカの旅を終え、南、東アフリカの旅を続ける現在。
それでは、また。
One Response
2年間の放浪を経て、そしてまた次の旅へ。 – yes, here I am.
[…] 【世界放浪】トーゴ・ロメ|閲覧注意!?世界最大のブードゥー教マーケットへ! […]